【連載】泉工業㈱の部署紹介【溶接編】
8月、台風の影響で一気に暑くなったかと思うと、一転して長袖必須の寒さになるなど、気温の激しいアップダウンに振り回されつつも、Hがお送りするこのシリーズは残り2回となりました。前回7月は製造部の工機・板金を紹介しており、今回は溶接を紹介して行きます。
この部署は、工機、板金で製作された部品を組み合わせて製品の形にしたり、アングル材や丸、角パイプを加工後に溶接して装置フレームなどに組み上げる仕事(製缶(セイカン))をメインとしています。
特定のお客様では塗装した筐体にパイプやバルブなどが取り付いたモジュール状態で納品するケースがあり、そちらは専属班が対応しています。
溶接できる材料は鉄(SPCC,SPHC)やステンレス(SUS303、SUS304)をメインとしていましたが、最近はアルミ(A5052)も行っています。
機材は複数ありますがメインで使用している物は以下の品です。
・半自動溶接機
トーチから飛び出ている電極と溶接棒※2を兼ねたワイヤーを溶接箇所に当て、スイッチを押すと放電が発生、それに伴い発生する熱で母材(対象)を溶融させます。同時に機械より溶接ワイヤーが送り出されるので、溶接面へ自動で溶接棒を供給しながら作業が行える機械です。
↑半自動で溶接された例
・TIG溶接機
放電を起こし溶接を行うのは半自動と変りませんが、こちらは片手に持った電極のトーチで対象を溶かしつつ、もう一方の片手で溶接棒を供給する完全な手動機になります。半自動と比べるとスパッタ※3が飛ばず細かい溶接も行えるのですが、対象と電極の間は常に1㎜程度に保つ必要がありこの距離が近くても遠くても溶接不可になる難しさと、1m程度の溶接棒を片手で保持しつつ一定間隔で指のスライドによる送り出しで溶接箇所へ供給・溶融させる難易度の高い技が要求される機械です。(Hは練度不足でこれが出来ず、ある程度溶接棒が縮んだら、一旦溶接を止めて持ち直し・再開を繰り返していました。)
↑TIGで溶接された例
・スポット溶接機
板の重なった部分を電極で、挟み通電とそれに伴う熱で貼り合せる溶接機です。板状の部品同士でよく使用されています。
↑スポットで溶接された例
・アイアンワーカー
油圧プレスで鋼材を加工する機械。セットする金型によって、アングルの切断や穴あけパンチなど色々な加工を行えます。
これらの機械と熟練技で作られた品は管理部で検査を受けて出荷されるか、工機に戻されて精度の高い加工へと移ります。
この工機、板金、溶接を一つの社屋で行い、後処理(めっきや焼付け塗装)の手配まで行える事は自社の強みであり今後もこの体制を活かしたものづくりを展開してゆく予定です。
※1シールドガス
溶接時に吹き付けることで溶接面への酸素供給を遮断するガスのこと、
これが無い状態で作業を行うと溶接面が酸化して変質、溶接不能な状態になるので
作業では必須のガス。
泉工業では半自動は炭酸、TIGはアルゴンを使用しています。(必要ない溶接機も存在します。)
※2溶接棒
溶接部分で母材と一緒に溶かすことで接合部分の強度を高めたり、
外観を美しく仕上げるのに使用する金属の棒。
※3スパッタ
半自動で溶けたワイヤーが放電で飛び散り、
溶接部分の周囲に細かい粒となって貼り付いた物
きちんと除去しないと外観が悪くなる。
次回9月はいよいよ最終回となり
Hが所属する技術部を紹介します。
お楽しみに!